よりよい社会、環境、業界の未来を願ってさまざまな活動を続けています
2007.01.10
「ブロックシンポジウム」は、理事会および関連行事を全国各地で開催し、会員のみなさんに、本協議会の活動への理解を深めていただこうというものです。第2回は、10月27日(土)に名古屋市のホテル名古屋ガーデンパレスで開催されました。
7月の通常総会に続いて、またも台風接近中というあいにくな1日でしたが、オブザーバー10名を含む28名に参加いただきました。
第61回理事会は、中島誠照事業部会長の司会で開会、五十嵐会長の挨拶ののち、4項目の議題ほかについて、報告と質疑が行われました。
(1) 各事業について、総務部会から進捗状況および課題の報告がありました。
(2) 平成21年度通常総会開催地が決定しました。
(3) 平成20年度シンポジウム開催について、一部、企画内容の見直し中との報告がありました。
(4) 各報告事項(四国サミット、NPO法人グリーンサイエンス設立記念セミナー、親会との意見交換会など)
休憩を挟み、(1)事業部会の各事業について、平成20年度総会の内容が一部変更になったことを受けて、新事業についての討議がありました。有用な事業の検討では、これまでの反省と新しい提案がありました。「情報」の充実ということでは、メーカーと協力した講習会などが仕事に直結するのではないか、遠方まで参加せずにホームページ内で情報が得られないか(同カテゴリーの仲間と情報交換する場をつくる、シンポジウムの講演がダウンロードできるなど)、総会をマジメなものからお祭りにして、若い人たちが参加しやすくしたらどうか、総会と別立てで会員による全国規模の会議が開けないだろうかなど、会員サービス事業の充実について、アイディアの段階ながらさまざまな視点からの意見が出され、やや時間をオーバーしての終了となりました。
理事会に続いては、「設備業界の新たな取組み」と題し、シンポジウムが行われました。
初めに、業界の閉塞感の中からも新しい道を切り拓こうと試みられる3人のパネリストから、20分ずつの事例発表が行われました。
「視点を変えた顧客獲得への取組み」(平岩誠部会長)
営業訪問ではドアはなかなか開かないが、修理というのは家の中に招かれるものであり、お客と1対1で話をし、提案ができる機会である。考えれば売るものはある。例えば、家庭用火災センサーを「修理のついでに」取り付けてくるのは効率がよい。
また、一度入れば、1軒の家のさまざまな情報が得られる。これを利用しない手はない。その家の築年数、設備などの情報をデータベース化し、そこから新しい提案をすることもできる。お客に自社を忘れられないことも大事。忘れられたらすぐ他所の客になってしまう。
修理に迅速な対応をすることで、何ものにも変えがたい「信頼」を得ることができるのだし、次の仕事へつなげることができるとなれば、修理はマイナーな仕事ではない。
「事業継承とCS課」(鳥居武史:愛知県)
20世紀は強いものが利益を搾取する時代だった。21世紀は人が喜ぶものを提供する時代である。「高いけど美味しい」「高いけどサービスがいい」という選択であるから、顧客ニーズを満足させないと経営が成り立たない。修繕・リフォームも始めようという時に、顧客満足= Customer Satisfaction から、「CS課」という名を取り、2001年に立ち上げた。CS課は2人でやっているが、新築工事に比べても1.6倍と利益率はいい。ただ金額が少ないので、もう少し増やしていきたい。
顧客の掘り起こしでは、共同住宅を現時点では、年間で1000戸ほど扱う。平均500件としても、40年で2万戸の工事をしたことになる。これを何とか繋ぎ止められないか。DMやHPは反応が悪い。やはり、修理で得た客をどうつなぐかがポイント。TOTOのリモデル・クラブなどが無償で提供しているツールなども利用できる。ゼネコンが倒産した場合に引き継ぐのも、負債に注意すれば、なかなかよい。また、築30年のマンションが配管の修理時期を迎えていて、高額物件となるので、顧客から管理組合へと話を通してもらい、入札まで持っていくことを考えている。
「多角経営と本業への相乗効果」(佐藤裕之副会長)
好きな言葉は、P・F・ドラッガーの「新技術の多くは新しい知識と言うよりも新しい認識である。既存の平凡なものの新しい組み合わせである。」
全く違う業種から秋田に戻って、社のOA化の遅れに驚いた。まずは管理のオフコンをやめて、パソコン10台とワープロソフト、表計算ソフトの導入からスタートし、ネットワーク構築から、やがてレンタルサーバ、プロバイダ業務を含んだITコンサルに発展。その顧客である病院から、今度はシステム開発の依頼までも受けるようになった。
そこに相乗効果も出てくる。例えば、サーバールームの空調。サーバールームに必要な要件はよく分かっているし、提案出来るので、依頼が来るなど、ITを切り口に新たな設備工事の受注が生まれたりしている。他に、秋田県の工業用水の指定管理者や、地盤沈下している秋田の日本酒の輸出入なども展開している。
地方では、たくさんのチャンネル、接点をもたないと本業すらも危うい。様々な分野の人と手を組んで新しいことに取り組み、最終的には最も得意な核となる分野で活躍の場をいただく(ここは決して忘れてはならない)というのが私の仕事の広げ方。多角形の究極は「丸」である。
発表の後は、中島事業部会長のコーディネートで、パネルディスカッションが行われました。「設備業界の今後の展望」について、平岩氏からは「元請率のアップを図る」、鳥居氏からは「土木に比べて建築は精度が低いので、あいまい化を避けるマニュアルづくりを」、佐藤氏からは「元請化のひとつの考え方として、インテリアコーディネーターではなく、蛇口など最終接点を知る我々こそが、提案をしていく」等が必要ではないかとの発言がありました。
最後は、「組合とは本来のライバルが切磋琢磨していく場である」「一匹狼ではやっていけない業界である」といった実感、さらなる会員サービスの探求をという話にもなりました。会員のみなさんから、「本業に役立つ"生の"情報を!」という声が多数寄せられていますが、52名の出席者の方には、手ごたえを感じていただけたでしょうか。
<講師紹介> 中国・江蘇省南通出身。早稲田大学大学院で「中国の水質問題と環境教育」を研究。卒業後、鳳来環境技術を設立。中国において最も深刻であり、早急な改善が必要な環境問題を「水質問題:清潔な飲料水へのアクセス」と捉え、より多くの人が水質問題の緊急性を認識すること、また改善のための情報と技術をより多くの人に提供することを目指して活動中。
<講演から>
中国は世界の13「貧水国」のひとつである。水資源保有量は世界4位だが、降雨量の70%が夏の4ヶ月に集中するため、水資源の3分の2は洪水として流失、また汚染により使えない部分も多い。一人当たりの水資源量は日本の3割に過ぎず、現在も水資源量は減りつつある。
668都市中、400都市で水が不足、うち110都市は「深刻な状態」にある。ただし、人口と給水量は都市部で増加しており、上水道普及率は、1990年の48%から2004年には88.6%になっている。また、主要都市の汚水処理場数/処理能力(t/日)/汚水処理能力は、2000年の315箇所/1659t/14.5%から、2005年の764箇所/5220t/37.4%となっている。廃水量のCOD排出量を見ると、工場廃水が減り、生活廃水が増加している。
7大水系のうち、珠江・長江は、飲用水の水源として適用可とされる水質80%だが、准河、海河では20%台。工業用水不可ながら農業用水の適用可とされる水の使用分類基準がある。工業用にダメなものを口に入れる作物に使ってよいのか。農村部では、3億人以上が安全性に問題のある水を利用し、1.9億人は有害な水を飲用せざるを得ないと推計される。井戸水汚染が死因の7割を占めるがん村が、昨年、日本の新聞でも紹介された。
2002年から2005年に現地調査を行ったが、生活廃水による湖沼の富栄養化、工業廃水による水質汚染が特徴的だった。雲南省のディエン・チー(中国で六番目に大きい湖)」ではアオコが大量に発生し、長江流域では高濃度の重金属を含む水で水俣病患者が出たとも報じられた。
2003年から、日本の専門家のアドバイスを得て、水浄化環境技術(無気泡酸素溶解装置・凝集剤を活かした浄化装置など)の交流活動を始めた。日本の技術は優れているが、廃水の処理コストが中国の事情(1tが15円以下)には合わない。そこまでの技術は要らないので、安い方法が取れないかと思うことも。また、日本人技術者の中国の環境市場に対する知識の欠如や、知的財産権というか、積み重ねてきたものを容易に渡したくないこともあるのだろう。
中国の環境問題の難しい点は、国民の環境に対する意識の低さにある。「ここではまだ大丈夫」「政府が何とかしてくれるだろう」などの声が聞かれる。また、地域による自然環境や産業構造の違いも問題である。中央政府の法制度の画一的な適用は不適切であり、地方政府に権限を与え、地域の実情にあった規制を認めながら環境保護対策を進めざるを得ない。それでは、地元の経済発展のために汚染源となる企業に甘くなることもある。
中国の環境汚染は中国だけの問題ではなく、日本も大気汚染、海洋汚染、黄砂などの影響を受ける。日中両国が協力して中国の環境問題を解決することは、日本を救う道でもある。かつて公害先進国であった日本の技術や管理ノウハウを活用することは重要である。
今後目指すべき方向は、
そして、何より、水を愛する心を育てること。環境教育を通じて、自然を愛する、水を愛する意識の向上を果たしていきたいと思う。
続く懇親会は、名水協青年部会の岡本副会長が司会を務め、名水協の森本理事長にご挨拶をいただいたあと、名水協青年部会の伊藤会長の音頭で乾杯。51名が、全国の同業青年部リーダーと、意見交換・交流・親睦の時を過ごしました。
途中、PRタイムが設けられ、各組合を代表する?10数名が登壇、シンポの感想など思い思いの気持ちを述べていました。
最後に、高柳副会長が閉会の辞を述べて、公式行事は終了。2次会あるいは3次会へと名古屋の夜は続いたようです。